ゼリア新薬の新人研修者の自殺事件は誰がどう悪かったのか?どうすれば良くなるのだろうか?

ゼリア新薬の新人研修者の自殺について思うこと

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ゼリア新薬の22歳男性が新人研修を受けて自殺した話を聞いて思ったこと。



ビジネスグランドワークス社が請け負って実施した「意識行動改革研修」が原因で自殺したとのこと。


意識と行動を改革するための研修なんだろう。


もっと言えば、意識と行動を「会社の利益になるために」改革する研修なんだろう。まぁそりゃあ会社がお金を出している研修なのだから会社の利益になるための内容でなくては困るのだが。



自殺したAさんは

  • 早稲田大学出身
  • 空手の有段者
  • 筋トレが趣味


という文武両道の強者である。強者であると思われる人物である。少なくてもこんな肩書の人間ならば、私は少し引く。



で、そんな社会においての強者が過去の苦痛(いじめ、吃音)を衆目に晒された挙句罵倒されるという精神的苦痛を与えられた結果、自殺した。



Aさんに精神的苦痛に関与した

  • ゼリア新薬
  • 研修を請け負った会社(ビジネスグランドワークス社)
  • Aさんを直接罵倒した講師

は「安全配慮義務違反」や「不法行為に基づく損害」賠償、約1億円を求める訴訟をされている。



精神攻撃の方法としては、

  • 過去の否定
  • 現在の否定
  • 睡眠時間を過度に削る事で精神抵抗を除く。


という過去にも現在にも逃げる場所を失くし、睡眠時間を減らし罵倒を行い、精神力を削り、依存心を高め、「会社に忠誠を誓わせる」という王道の洗脳パターンである。


拠り所を「会社」以外には存在させなくした上で、依存したい精神状態を作り上げ、そんな人間を会社が暖かく迎えるという方法である。

過去の否定


いじめと吃音という過去の苦痛を研修生の皆の前で、晒し上げる事で自分の過去を徹底的に否定する。

現在の否定

  • 「何バカな事を考えているの」
  • 「いつまで天狗やっている」
  • 「目を覚ませ」


上記のセリフは現在の否定にもなる上に、「より正しい在り方」を暗に示唆できる有効な方法である。


「より正しい在り方」を洗脳側がヒントを出す形式で小出しに教えて、「研修生が自ら会社の都合の良い考えに到達する」という流れで思考を変革させていくのが、一番都合が良く効果的である。

自分で一生懸命考えて捻り出した考えをそう簡単に否定する事はできないからだ。
(まぁ、実際は他人から誘導されたものなんだけれども)


それに、講師が無理やり研修生の思考を改造してしまった、という確たる証拠が出てしまうと何かと都合が悪くなるから。

睡眠時間を過度に削る事で精神抵抗を除く。

まぁ、これは言うまでもないだろう。

人間は眠れないと強いストレスを感じる。精神力が低下する。


同時に、肉体的にも強い負荷を与えるとより効果的だから、他のブラックな企業ではマラソンと大声で体力を消耗させるという方法を取っていたりする。


ゼリア新薬の研修活動についての感想


まぁ、会社としては外注しているから

  • ゼリア新薬自身は恨まれにくいし、
  • 会社への忠誠度は上がるし、
  • 新人は鍛えられるし、
  • 研修に耐えられない人間を切り捨てる事もできるし、

ってな感じの万々歳な手法なんだよな。


会社がどうやって利益を出すかと言ったら、社員に忠誠を誓わせて会社のために朝も昼も晩も休日も全力で働かせ続けるのが一番良いに決まっている。


会社は慈善団体ではなく、利益を出すための団体なのだから、合理的と言えば合理的である。



最近の風潮である

  • 「サラリーマンはクソ!」
  • 「仕事は三年続けなきゃいけない、なんてゴミ理論!」
  • 「辞めたくなったらすぐ辞めてよい!」

なんて考え方を新人社員に持たれたら、会社の経営としてはたまったものではないのである。


基本的に、新人社員が早期退職されると「まず間違いなく損失になる」のだから、そう簡単に辞められては困るのだ。



私自身、社会を経験してある程度のお金の流れを知った上で考えると、早期退職者なんて本当に大ダメージである。
計算してみると、3年続けて貰えれば利益は出る事には出るが、それ以上に早期退職者の不利益が大きい。



「だから、新人研修で徹底的に洗脳と鍛錬を行わなくては!」って考えはそこまでおかしい考えではない。


人間が強くなるためには多少の厳しさ、そして過去と現実との対峙って奴が大切である事は確かだ。


私自身もトップリンク先のような厳しい研修を体験した事がある。今でもブラックな研修だったと思うし、ブラックな利益の出し方と宣伝方法だったなぁ、と思う。


それでも得るものはあった。
(感謝はしていないし、こういう研修方法が増えればいいとも思わないが)

簡単な話ではない。絶対的な改善策も簡単には見つからない。


要はバランスの問題なのである。適度に厳しく、その人が壊れないように、より成長できるように。


でも、自殺者を出してしまった時点でアウトだと思う。バランスが崩れてしまったかのように思う。
(無論、研修者のAさんのメンタルがどういうものだったかを計り知る事はできないけれど)




難しい話である。こんな抽象的で曖昧な感想しか出せないのだが、難しいのである。



厳しい研修だから、大変な労働だから、苦痛な行事だから。そんな内容は世間の目に晒されやすいし攻撃されやすいし、話題になれば淘汰されるだろう。


だが、その結果として甘ったるいイベントしか体験してこなかった人間が量産される訳だ。


そいつらって絶対に軟弱で脆弱で吹けば飛ぶような人間ばかりだよね?そんなんで生き残っていけるの?利益出せるの?戦えるの?



そりゃあ残業はクソであるし、厳しいことはない方が良いに決まっているし、社会全体が幸福になるのが良いに決まっている。


でも、理想ばかりを語っても何も生まれないだろう。理想を得るためには現実と戦わなければいけない。



だからこそ、今回の件で言うならば「研修生がどこまでのストレスならば耐えられたのか?」って事を調査して、その上での厳しさを与える必要があったのだけれども、一人ひとりの人間のストレス許容量の限界なんて簡単に知る事は難しい。



とはいっても全員が確実に耐えられるような甘ったるい研修だと成長はない。会社に利益は生まれないから将来的には会社全体というより多くの人間が苦しむ事になる。よって研修は厳しくする必要がある。



バランスが大切!ってのは確かな事なんだけど、そんなの皆わかってるんだけど、そのうまい具合を調節するのが物凄く難しいから、色々な所で様々な事件が起こるのである。



単純な結論としては、自殺させてしまったのだから悪いのは研修を行った講師という事にはなるのだろう。


しかし、研修を行った講師を排除すれば社会は良くなるのだろうか?

研修を行う会社を排除すれば社会は良くなるのだろうか?

ゼリア新薬を排除すれば社会は良くなるのだろうか?


きっとそんな簡単な問題ではないだろう。だから難しいのである。